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10ほど年前。わたしは、生まれて初めて、「ホームステイ」というものを経験した。カナダはバンクーバーにお住まいの、カナダ人家族のおうちで。それは、わたしにとって、初めての海外経験でもあった。何もかもが新鮮で、家ひとつにしても、そのでかさや、庭の広さ、シャワールームとバスタブが別々に存在していることさえ、感激の対象だった。「映画みたい…」と。
さて、その家族には小学生の姉と弟がいた。弟は、憎たらしいガキンチョで、英語がまったくできないわたしをバカにしていた。「これわかる?ナイフ アンド フォーク。OK?」。この言い方が、また、人を小馬鹿にしたような言い方なのだ。なのに、「OK」としか答えられないもどかしさ…。 姉はわたしを遠巻きに見ているだけ。そして、たまに、じっと、わたしのことをなめまわすように見ては、「あなたのこのセーター、ステキね」「かっこいい靴ね」とわたしの持ち物を誉めてくれる。そして、姉ともほとんど会話らしい会話もなく、1ヶ月が経ち、わたしが日本に帰る日、姉はわんわん号泣した。「泣かれるほどの交流なんてなかったのに」と思っていると、ホストマザーは、「あなたのことが好きだったのよ。だから別れがツライのねぇ」と言う。ウソォォーン、である。結局、わたしは、英語で気のきいた別れの言葉もかけられず、バーイ!と言って、それっきり。 さてさて、本題に話を戻そう。ホームステイは、「3食つき」と言うのが条件だったため、平日はホストマザーが二人の子供たちとわたしに、ランチを持たせてくれた。日本で子供が学校に持っていくランチと言えば、ご飯があって、玉子焼きがあって、おかずがあって、果物までついていて、としっかりとした食事。なのに、ホストマザーから手渡される茶色の紙袋には、ピーナツバターを挟んだサンドイッチと、M&M'sがバラバラとむきだしで入っているだけだった。しかも、そんなのが毎日。「忙しくて作れなかったから今日は手抜き」とかではないのだ。しつこいようだが、毎日がそれなのだ。 「これは不当だ。わたしにだけ、こんな粗末なランチを用意しているに違いない」とわたしは心の中で決めつけた。高校生の時にイギリスでホームステイした友人が、家族の食事と自分の食事はいつも別々で、じゃがいもばかり食べさせられた、という話を聞いていたからだ。わたしは、腹が立ちながらも、英語で抗議することもできず、「ランチはいらない」とだけホストマザーに言うと、自腹でランチを買って食べることにした。 そして、ある日。わたしはランチへの疑問を確かめる機会を得た。朝、起きると、キッチンに子供たちのランチバッグが2つ置かれていたのだ。そういえば、ホストマザーは、いつも、わたしに“手渡し”でランチバッグを持たせた。わたしに、用意された3つのランチバッグの中から、好きなものを選ぶ選択権はなかった。キッチンには誰もいない。「今しかない…」。ランチバックを開けると、中身を見た。そこには、あのピーナツバターのサンドイッチと、毒々しい色のお菓子がむきだしで入っていた。「同じやん…」。そして、「ごめんなさい、ごめんなさい」と心の中で、ホストマザーに何度も謝った。その後、日本人にその話をしたら、「ランチバッグって、そういうものよ~」と言われて、またまた、ごめんなさい。 今日、なぜ、ランチの話なんかを書く気になったかと言うと…。11時から16時まで出勤の相方に、今朝、ランチ代わりに用意したのが、「りんご1個、チョコレート半切れ、ピーナツ1袋」だったのだ。「これぐらいあれば大丈夫かなぁ」と、もっすごいナチュラルに用意して相方のバッグに入れた。ご飯がある時は、お客さんが出入りする事務所でもパッと食べられる、おにぎりを作る時もあるが、今朝は、米がなかった。それならば、と用意したメニューがそれ。びっくりである。相方は、「いっぱいだねぇ」なんて言って持っていってくれたけど、心ひそかに「不当」だと思われていたりして…。10年前のわたしのように…。 #
by times_square_ny
| 2006-04-04 10:52
| 今日の出来事
1日目 テカポ→クイーンズタウン 2日目 クイーンズタウン→ダウトフルサウンド→クイーンズタウン 3日目 クイーンズタウン→スチュワート島 4日目 スチュワート島→インバーカーギル 5日目 インバーカーギル→ダニーデン 6日目 ダニーデン→クイーンズタウン 7日目 クイーンズタウン→カイコウラ 8日目 カイコウラ→ピクトン→ウェリントン 9日目 ウェリントン 10日目 ウェリントン→オークランド 11日目 オークランド→成田 なんだか、とっても、慌しいスケジュールですが、少しタイトなぐらいが好きなのです、はい。 オセアニアを専門に扱っている日本の会社で、わたしの写真を使ってもらえるかもしれず…。そのためにも、きっと、すごい数の写真を撮りまくることになるでしょう。 楽しみ。 #
by times_square_ny
| 2006-04-02 23:14
| つもる話
今月、相方と一緒に東京へ帰ります。今日は、エイプリルフールだけど、そういうネタではないので。2年半もニュージーランドにいると、一度、外からこの国を見てみたいと思うようになる。2年半前に、日本を外から見てみたいと思ったように。
日本に帰ったら、やりたいことは山積みだし、やらなきゃいけないこともたくさんある。まずは、パチンコしかないっしょっ。ジャンジャンバリバリ~ジャンジャンバリバリ~♪ とは言っても、ニュージーランドでの生活も捨てがたい。ある意味、毎日が現実であって、現実ではない、不思議な世界ですからねぇ。今から、東京で社会復帰できるかどうかが、心配です。 ア~、ニュージーランドの生活と東京での生活。できることなら、二股かけたい。ねぇ、相方。 #
by times_square_ny
| 2006-04-01 12:10
| つもる話
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